SHIENA WORLD

COLUMN
脂質ホテル

第2章 マテリアルワールド

18.02.01脂質ホテル

炭水化物の街

 

ようこそマテリアルワールドへ!
ここは様々な素材が織りなす新世界。
街や建築や食品、そしてあなた自身も、
結局は素材の集まりだと気づくでしょう、
それでは良い旅を!

 

それでは!
って言われても・・・。

気が付くとわたしは、
三大栄養素という巨大な交差点に出た。

左折:炭水化物60%
直進:たんぱく質25%
右折:脂質15% 
 

下に赤い字で「左折優先」と書いてある。
とりあえず左折し大通りに出ると、
横断幕がかかっていた。
「炭水化物商店街、
私たちは主食です、毎日食べましょう!」

 

道の両脇には店がビッシリと並んでいる、

そば屋、ピザ屋、ラーメン屋、
マクドナルドを挟んで、パン屋、すし屋、
お好み焼き、

3件に1件の割合でファーストフードがあり、
5件に1件の割合でケーキ屋、チョコレート屋など
スウィーツの店が並んでいる。

どの店も人々が列んでいるが、
ときおり順番を争っている様にも見える。

 

商店街を抜けると、
コーラ片手に浜辺で水着の女性がほほ笑む
大きな看板、
その先には、
「いろは食品」「にほへとコーン」
「ちりぬるドリンク」「をわか製菓」
どうやら食品関連の会社や倉庫のようだ。

ひときわ大きい「abc製粉」のビルを過ぎると
大きなラウンドアバウトに出た。

 

ラウンドアバウトの中央には、
糖質幼稚園という建物があり、
子供たちはキャンディーを舐めながら、
歩道を逆走する電動自転車のママを待つ。

近くには様々な歯科医院が、
歯並びよろしく並んでる。
子供歯科、審美歯科、ペット歯科、
歯科48なんていうのもある。

歯科医院と歯科医院の間には、
まるで歯の隙間に挟まったネギの様に、
ジュースの自動販売機があり、学生たちがたむろしている。

紫外線を気にする、
宇宙人のような全身黒ずくめの女性が出てきたのは、
ひときわ大きな高層ビルで、
壁面には「炭水化物総合大病院」のサイン。
その下の駐車場は車が溢れている。

それにしても、
ここはずいぶん病院が多いところだなぁ。

 

ブドウ糖ステーション

病院の脇に看板を見つけた。
「ブドウ糖ステーション?」
どうやらガソリンスタンドらしい。

ちょうどいいので、ガソリンを入れながら、
この街のことを聞いてみようと思った。

フォルクスワーゲンタイプⅡを止めると、
奥から太った男が出てきた。
この体型なら200キロはありそうだ。

「いらっしゃいませ!」
「レギュラー満タンでお願いします」

「はい、炭水化物満タン!」と、
男は大きな声で復唱した。

「炭水化物?」
「そう炭水化物がないと人は動きませんから、
いや車は動きませんから」
変なことを言う奴だ・・・。 

「お客さんも通院ですか?」
「いや、旅をしているだけです」

「じゃあ観光ですか?」
「まあ、観光とも言えなくもないか、
この辺は何処かいい所ある?」

「だったら、コリなんてどうです?」
「コリ?」

「そう、糖とタンパク質がくっついて、
長い間に硬くなった山です。
あそこに真ん中が大きく盛り上がった
3つの山が見えるでしょ?

左が「糖質山」右が「タンパク山」
その間の大きな盛り上がりがコリ、
世界糖化遺産です。

 

炭水化物大通りを真っすぐいけば
30分で着きます。

この辺の運転は気を付けて、
みんなボーっとしているから、
交通事故が多いんです。
まあ糖尿病はもっと多いけど。

ここの人たちは死んだら
コリの麓の墓地で眠るんです。

俺ももう長くないかなぁ~、
合併症だから。

あっ、それから、
炭水化物を入れたばかりなので
血糖値上昇しますよ、

インシュリンも出るから、
アップダウンして眠くなりますから気をつけて!

 

わたしはスタンドを出て、
炭水化物大通りに戻った。

しばらくすると、
さっきの男が言っていた通り、
たしかに眠くなってきた。

少し休んでゆこうか。

 

911

 

炭水化物大通りの路肩で休憩していたら、
随分眠ってしまった。
だいぶ日が傾きかけている、
少し先を急ごう。

街を抜けると、風景は一変し、
通りの両脇は見渡す限りの畑になってきた。

ジャガイモ畑、トウモロコシ畑、
今は小麦畑が延々と続いている。

そう言えば、これって全部穀物で、
パンやゴハンのように、主食になるんだよな、
蕎麦もコーンフレークもみんな炭水化物だから、
炭水化物って多いんだなぁ~。

だから、これだけ広大な穀物の栽培が必要になるのか。

これは、想像以上かもしれない、
穀物、そして炭水化物、恐るべしだ。

  

しばらく走ると、
前方を行く白い車が道をよけてくれた。
バックミラーで、
私が急いでいる様子が見て取れたのだろう。

わたしはアクセルを踏んで一気に追い抜こうと思った、
でも追い抜けない。
いくらアクセルを踏んでも
フォルクスワーゲンタイプⅡでは追い抜けないのだ。

こちらは目いっぱいなのに、相手は楽そうに走っている。
どうやら根本的にパワーが違うようだ。

わたしがいつまでも追い抜かないので、
前の車は元の車線にもどり、

一気に離れて行ってしまった、
ポルシェ911だった。

  

今、車の世界では
大きな時代の転換が起きている。

エネルギー源が、
旧来のガソリンから変わろうとしている。
ポルシェの母国ドイツでも、
近い将来ガソリン車の販売はできなくなる。

いずれ電気自動車の時代が来るだろうが、
今は時代の移行期で、
ガソリンと電気を使い分ける
ハイブリッドの時代だ。
 

人間のエネルギー源も、
ハイブリットで切り替わる日が来るのだろうか?

「ブドウ糖ステーション」の太った男が言っていたように、
炭水化物でしか、人は動かないのだろうか・・・。

 

 

糖とタンパク質がくっつき、
糖化してできた山、
世界糖化遺産であるコリに着いたのは、
19時過ぎだった。
 

見るからに硬そうな
地盤が折り重なり層をなしている。
その上に樹が生えているが、
それぞれがコールタールの様なもので、
ベットリと覆われていて、
身動きが取れないようだ。

なんだか山全体が、
動きが取れていない感じでモガイテいる。
あまりインスタ向きではない、
苦しそうな光景だ。

せっかく勧められたのだが、
長居する場所ではないな。

すっかり日も暮れたので、
先に、今晩泊まるところを
確保しておいた方がいいと思い、
近くのホテルを検索したら、
以外に簡単に見つかった。

変わった名前のホテルだったが、
電話対応が妙に感じよかったので
予約したのだ。

  

 

絶景オススメ宿!

高タンパクな食事と
ココナッツオイル付。

モーニングサービス
:昼までお腹が空かない、
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あなたの人生を変える
「脂質ホテル」

 

行き方
三大栄養素の三差路を脂質方面へ右折、
ココナッツオイル河を渡り、
その先のアブラ坂を5分登る突き当り。

寄りみち